思考実験室

日々のつれづれ

なんでエンジニアになったんだっけって話

はじめに

今年になって弊社では制度面での改革が行われています。面談ではその人のいまのライフステージやエンジニアとしてどのようになっていきたいのか、おおざっぱに言えばその人の生き方を二人三脚で考えるやり方に変わろうとしています。その動きを受けて上司や同僚と話をしながら思ったこととして、「自分は何がやりたくてこの業界に入ったんだっけ」と思い出すためにこの記事を書きたいと思います。業界に対する志望動機を再確認し文章化しておくことで、別の会社に転職を決意したときにもそもそも私の原点はブレないだろうし、今の会社でやるべきことの軸を立ち返ることでどのような気持ちで仕事に取り組むのかを整理できると思っているからです。

はじめてのお仕事

大学院で公共政策を研究していたのですが、公共政策というよりも「公共」それ自体について興味があり、政治学社会学、思想史などもかじっていました。家から徒歩3分の場所にあり、大学が閉まる時間ギリギリまで本を読んだり論文や資料を読んだりしてノートにまとめたりを繰り返していました。講義を含む1日8時間以上勉強をほぼ毎日していたので、実は社会人になってから労働時間を辛いなあと思ったりしたことはそこまでなく、勉強時間が労働時間に置き換わった程度のことに感じていました。そのため比較的シームレスに学生から社会人に移行できたような気がします。

IT業界に入る前は残業前提で資料をまとめたり、大量の個人情報をエクセルのセルに入力したり、非常に定形的な作業をしていました。FAXも使うし電話も使う、なんともならないときには人海戦術でなんとか仕事をさばく、そのような職場で働いておりました。

Excelの関数は社会人になってから少し勉強して使えるようになったレベルでしたが、この頃から作業の自動化をできないものかと考えていました。大量の個人情報の入力は、フォームを作成すれば入力の手間が省けて楽になるはずだ。Excelの「マクロを記録」を知ってから、半自動化ができるように工夫をしていました。

転職を決意する

いつまでも今の仕事をしていられないなあと思っていたことや、手に職ある仕事をということでIT業界へ転職を決意しました。人と関わる仕事は楽しいけれども、一方で属人的な仕事を非属人化させる仕組みを作ることが仕事のモチベーションになっていたことや、いっそ作業を自動化したい、作業を楽にしたいという気持ちは変わらずあって、IT業界がしっくり来ると思ったからです。

最終的にはコンサルタントになりたいなとは考えていたので、ITを使ったコンサルタントの仕事ができるようまずは基礎的な能力を磨こうとも考えていました。

初めてのIT会社、実態は...?

いわゆる第二新卒の扱いとして某IT会社に入社しました。大学を卒業した新卒の子が同期で、一人だけかなり浮いていたように感じていました。Javaの研修(サクラエディタで編集して、 $ javac Hoge.javaコンパイルして実行...、IDE使おうよ...)をしたり、VBAマクロを使った簡易なプロジェクト演習や、ビジネスマナー研修を経て2ヶ月後の6月に某銀行系のプロジェクトに配属されました。

出向先への通勤途中で『なれる!SE』を読みはじめ、エンジニアという誇れる職業(室見さんしゅき...)への憧れや、情熱を持って仕事に取り組むことの格好良さに感銘を受けました。

実際にやっていたことはCOBOLのソースを読んだり、JCLでプログラムを実行したり、打鍵テストを実行したり。当時の人月単価はよくわからないものの、アルバイトでもできるような簡単な仕事から作業を任されるようになりました。案件が銀行系ということもあって、外側に出るインターネットは使えないためOSSの利用は当たり前にできませんでしたが、VBAの利用は許されていたので、VBAを使ってコードを書いていたりしました。

その後別のプロジェクトに配属され、そこでは機器検証業務を実施していました。なぜか夜勤でしかも片道2時間、残業は+2~3時間を前提としていたプロジェクトで定時で帰ると白い目で見られるというプロジェクトだったため、身体と精神を軽く病みつつ重症化する前に金融系のプロジェクトにアサイン。そこでようやくJavaを書く環境に配属されました。

(検証業務に意味がないとは思わないけれど、検証だけをしているだけの仕事は意味がないのかなと思ったりします。そこでできた人脈もあるので一概に否定はしませんが)

そこでのプロジェクトは比較的長く1.5年在籍していました。Java + Eclipse + SVN の開発環境の構築も初めてでしたし、データベースをローカルで構築することもなかったですし、1から10まで先輩社員に教えてもらいました。設計書も揃っているし、詳細設計書(プログラム設計書)もあり、どのように書くのか(IF文レベルでやることが書いてある)が明記されてあり、正しいJavaプログラムの書き方をそこで覚えたような気がします。

現在について

前職はいろいろな理由(禁則事項)があって転職しているわけですが、振り返ってみるとエンドユーザーに寄り添ったシステムを作れているのだろうか、エンドユーザーがもっと楽できるシステムを構築するという、この業界にはいった志をときどき忘れたり守れてないときもあると思ったりします。初志貫徹、この気持ちは忘れないようにしておきましょう。

プログラマとして楽しいと思う実装ももちろん大事ではありますが、エンドユーザーあってのシステムだということをもう一度肝に命じるわけであります。