思考実験室

日々のつれづれ

2020年12月31日

新型コロナウイルスの世界的な流行によって、僕たちの生活は今までの日常から切り離されて、「新しい生活様式」を余儀なくされてしまった。流れに逆らうにはあまりに力が大きいから、その流れの中で工夫をする、その状況を活かして今までになかった選択をしていくような1年だったような気がする。そしてこの流れは大きくは変わらないだろうし、「新しい生活様式」に適用した僕たちの行動は、それがスタンダードになっていく。これは、大きな流れに抗いながらも受けて入れていった、そんな今年の記録。

パスピエ 十周年特別記念公演 “EYE”」

2020年2月16日(日)、新型コロナウイルスが日本で猛威を奮い始めるよりは少し前の話。ソーシャル・ディスタンスという概念は当時はなかったけれど、マスクの着用が義務付けられたその公演だった。そして、リアルで誰かが演奏をする、観る機会はそれが最後でもあった。

「あの青と青と青」のオーケストラアレンジが絶妙だったことを覚えている。 何度かパスピエのライブを見ては感動をしてきたが、ここ一番好きなライブかもしれない。

テレワーク

緊急事態宣言がなされるよりも早く、全社的にテレワークが実施された。たしか、3月末日。 システムの受託開発や、サービス提供をしているという性質上、基本的にはパソコンさえあれば仕事ができるため、テレワークへの移行はそこまで難易度があったわけではない。むしろ社員には歓迎さえされたのではないかと思う。

また弊社では新型コロナウイルスが蔓延しているなかでも採用を強化し、昨年度よりもメンバーが増えた。新しいメンバーの参画は、この状況下では諸刃の剣ともなり得、とくにナレッジの共有という点では非常に厳しい。テレワークを3ヶ月以上経たあたりで、信頼貯金を切り崩してチームの運営をしているのではとひしひしと感じていた。また過度なテレワークへの期待は、お互いの技術力を把握しておらず顔を合わせたこともないメンバーによる小規模なプロジェクトの運営を困難に陥らせているのかなと思う。週イチでの顔を合わせた仕様認識会などを実施していたら、もしからしたら上手く行ったであろうプロジェクトもあり、見られていなくても高いモチベーションを保ちながらパフォーマンスを発揮することの難しさ、困っときに誰かに聞けばと思える心理的安全性の確保は、テレワーク下の状況において解消すべき問題かと思われる。

また、僕自身はテレワークを福利厚生だと思っているし、今は社会の厚生のためにもテレワークすべき立場にあるが、その福利厚生も行き過ぎれば毒である。人との協同とともに、人との競争を見える形で可視化して、パフォーマンスを発揮させる環境の構築していく必要がありそうだなあと思っている。

藤沢へ転居、家を買う

家を買いたいとは思っていたけれど、テレワークをできる環境にあるというメリットはこういう行動を起こすという例かもしれない。 金額的には、当時の杉並区の2LDKに支払っていた家賃の金額で、35年のローンを組んで藤沢に新居を買うことになった。

ある種ラッキィだなあと思うのは、藤沢という場所は東京、渋谷、新宿、新橋と、1時間程度で行ける場所にあり、そして江ノ島や鎌倉といった僕の憧れの場所に近い場所に住むことができたことである。 自転車を漕げば行ける距離に江ノ島がある、それだけでも十分なメリットだと思う。

あと気づいたのは、意外と近くのスーパーには鮮魚を多く取り扱っていることが多く、海の近くの街ということを改めて感じる次第。 魚は捌けないので、来年の目標として魚を捌けるようになりたいなと思う。

東京への憧憬の喪失

藤沢への転居とともに、10年は行かないにしても人生の 1/5 程度には暮らしてきた東京という街を去った。

幾度となく通ったライブハウスも、街の姿を変え続ける秋葉原も、地下迷宮の新宿も、そして歌舞伎町も、暇だし行くかという距離ではなく、少し背伸びをして行くような距離に変わった。 手が届く距離から、手を伸ばせば届く距離に変わったことに、意外にも僕の中では納得がいっていて、おそらく東京という場所をだいたい知ったということが大きい。たぶん、1年2年いただけでは東京からは離れなかっただろうし、もしお金がもっとあるなら東京でも良かったのではと思う。

そういった気持ちが表すように、東京に対するこだわりは過去と比べてもだいぶ薄まったかと思うし、地方出身のレッテルは、東京に住んだこともあり、家も買った藤沢市民という実績で、少しはましになったんじゃないかと改めて思う。 東京は届かない場所・あこがれの場所から、手を伸ばせば届く場所にあるという心のゆとりは、東京への憧憬の喪失につながっているのではないかと思う。

さいごに

とりとめのない雑文でしかないのだけれど、なんとなく気持ちを綴ってみた。 今年は僕自身、いろいろな環境の変化があったと思う年だったし、たぶん来年はここまで動きがあるような年にはならないと思う。 変化を受け入れ変化した年から、変化した形で過ごす年に。そんな一年になるんじゃないかと思う次第。