思考実験室

日々のつれづれ

むすびズム / キミに夢CHU♡XX

記事にされていました。

むすびズムの登場から、再燃する80年代文化と時代の空気を考察

http://www.cinra.net/column/201706-musubizm 

 

初めて聞いた時に、すごくキラキラした音だなあと思ったのですが、一方で聞いたこともあるような懐かしい感じ。僕は当時の、80年代の音楽文化に浸かってきた人間じゃないけど、既視感となっているのはTommy February6が得意としたサウンドを聞き込んだ影響であると思うわけであります。

 

それはそうと、リーダーの木村ミサさんはモデルもされています。Zipperで掲載されていたマンガ『Paradise Kiss』がアニメ化され、主題歌がふとよぎります。

 


Paradise Kiss OP 「Lonely in Gorgeous」 Tommy february6 (4K)

 

「♥Lonely in Gorgeous♥」はアップテンポなナンバーですが、「EVERYDAY AT THE BUS STOP」などのミディアムテンポな楽曲は、スタイリッシュさよりも可愛らしさ、今でいうところの「ゆめかわいい系」なのでしょうか。Tommyの楽曲は、ガーリーさ、女の子という世界観を音楽で表現しようとしていました。

 

これに負けじとむすびズムの「キミに夢CHU♡XX」はラストのサビで半音が上がったり、シンセサイダーの使われ方もとても耳が心地いい。80年代のサウンドをアイドルポップに仕上げた「キミに夢CHU♡XX」、あえて解像度をぼやけさせて80年代を装ったPVも見どころのひとつです。

 


キミに夢CHU♡XX(MV) / むすびズム(musubizm)

 

(僕の一番の悩みは、山田なみちゃんのあの笑顔に釣られないかです)

2016年のライブ振り返り

まさか自分がアイドルにハマる...とは思ってなかったんですが、気づいたらこんなんです。 ライブの数はちゃんとカウントしてないので正確にはわからないんですが、50現場くらい行ったのではないかと。 そんな中でも割と印象深かった2016年の名アクト、ベスト10を挙げて、ライブの振り返りをしたいと思います。 

10位 7/24 ボートレース in TAMAGAWA

バニラビーンズ、Maison book girl、キラキラゲリラ、じゅじゅが、多摩川競艇場にて、レースが始まる間にライブを行う、そんなイベント。初めて聞いたバニラビーンズは、北欧の風というキャッチコピーの通り聞きなじみの良いポップスが印象的。 しかし、それ以上に印象を与えたのがブクガでした。 競艇場という競艇ファンしかこない場所で変拍子の曲を繰り広げ、そこに来たお客さんがどうノっていいか戸惑うのは、こういう場所ならでは。 そして、いかにブクガオタがサクライケンタサウンドに慣らされているか、というのを改めて身にしみた現場でした。

9位 7/3 Happiness!!-FAVORITE the IDOL-

Hauptharmonie主催公演。この日はハルモニーならずとも面白いアクトが揃った日でした。 あヴぁんだんど、黒猫の憂鬱、校庭カメラギャルせのしすたぁ、タタカッテシネ、ヤなことそっとミュート、オープニングシスターズ、そしてHauptharmonie。 印象に残ったのはあヴぁんだんどの曲が非常に洗練されていて音ゲーっぽい、北川勝利サウンドのような、そんな渋谷系チックなものを感じました。 校庭カメラギャルはダルそうにヒップホップをしながら、シニカルなリリックを繰り広げる感じは、機会あればまた見に行きたいなあと思わせるほどでした。

8位 9/18 changes of life vol.12

Hauptharmonie、Maison book girl、そして何よりsora tob sakanaが見れる神現場でした。生でみる「広告の街」は鳥肌もので、その他の曲も素晴らしかったです。 他には、CAMOFULAGE、ドリィムアビリティ、Sora Soundとアイドルグループがいたのですが、主催のCAMOFULAGEがわりと面白かったなあという印象があります。曲自体は特筆すべきものがあるわけではないですが、ライブ中でのフロアの盛り上げ方が上手く、解散が発表されたことは非常に残念です。

7位 1/23 おやホロ×ブクガ 深夜イベント

Maison book girlをちゃんと知ったイベントでした。けれどもこの時、おやすみホログラムはそこまでハマれませんでした(後日、アルバム「2」以降で好きになっているのですが)。 アルバム「bath room」の曲が主体だったし曲数は少なかったのですが、アコースティックもやったりと面白かったです。 あと、和田輪さんがふぁぼしてくれて、これがきっかけで好きになりました。

あと深夜のイベントなんで激眠いっす。。。

6位 むすびズム2周年ライブ ワンマン初心者 〜まほうのカギを挿してくれ〜

耳馴染みの良いポップスが聞けるグループとして、「マエヲムケ!」以降注目していたグループの初のワンマンライブでした。持ち曲全部をやったのかな?「まほうのカギを手に入れたら」、「ONE STEP」などyoutubeにあがっている曲以外にも楽しい曲や、「milky way」のアコーステックバージョンなどが聞け、またむすびーズ(むすびズムファン)も垂れ幕やサイリウム配布などすごく頑張っていて、会場全体が祝福に包まれていて幸せでした。 

5位 10/9 ライムベリーワンマンライブ Bring it on down

韻果MATSURIのライブでライムベリーを知って以来、推し箱ではないけれども行くと楽しいライブアイドルという位置づけになっています。 DJ OMOCHが7月に加入するも8月にMC MISAKIが家庭の事情により活動休止。 DJ OMOCH加入後のライブはリリイベくらいしか行けず、フルメンバーのライブはこのワンマンで観ることになりました。 ライムベリーはモッシュやダイブ、リフトみたいなことはせずとも音に合わせて体を揺らす楽しさがあって、純粋に楽しめる現場ではあるのですが、DJ OMOCHの爆発力 によってライブはさらに面白さを増しました。 推し箱ではないにしても、機会があればまた行きたいアイドルグループの一つです。

 

5位 5/15 Hauptharmonie主催公演 -Kindergarten-

メンバーの小川花脱退前ラストコンサートです。正直に言うと、小川花はすごかった、と改めて認識したコンサートでした。 Love likes a mille-feuilleは、白いロックを志向するハルモニーの名曲の一つだと改めて感じて、そして、花ちゃん、じゅのちゃん、ぴっちゃんが歌うassuage his disappointmentはもう聞けないということも。 assuageは今ではチガちゃんが花ちゃんの代わりに歌うようになったのですが、あまりにも、あまりにも、その3人で聞いた時を、今は超えられそうにない。 そのくらい、小川花という存在の強さを、歌声の強さを持ち合わせていたことを、ハルモニーの歴史の中での重みを感じました。

 

今までありがとね。

4位 ハウプトハルモニー結成2周年ワンマンコンサート 『しろくまばゆい』

ハルモニーは幸せな顔をしている方がいい。彼女たちが辛そうにしている顔を見るのは辛いのです。

ベッドイン会や、DM企画など、(ファンの)心が辛くなる企画でメンバーも病んじゃわないかな...とずっと心配していたのだけれど、ワンマンでようやく禊を済ませたような気がしました。ハルモニーは色々あって炎上もいっぱいしたけれど、良質な音楽を届けてくれるグループ。彼女たちの言葉に嘘はなくて、だからついて行きたいと思得るのです。

憂さが晴れたように楽しそうに歌い、踊る彼女たちを見て、本当に良いライブだと思いました。

 

01.BUDDY
02.(the garden was alive with) all sorts of flowers
- MC -
03.Anne Hathaway's Morning
04.yearning
05.シャンパンゴールド・トワイライト・ラグゼ
06.トゥー・スウィート・トゥー・リブ
07.きらり
08.assuage his disappointment
09.SUPER KIMIWOTA LOVE STORY
- MC -
10.Alice in Abyss
11.Tempting 10 Attempts of Temperance
12.Old Gaffer’s Confession
13.LAST CHANCE(幸福の妨げ)
14.Caterwaul
15.Kidnapper Blues〜人攫いの憂鬱〜
16.ソプラノ・オーバードライブ
17.Love likes a mille-feuille

en1.国王
- MC -
en2.FORTUNE LOVE
en3.パラレルワープ
- MC -
en4.Until(仮) 

3位 2nd oneman live「Solitude HOTEL 2F」

フロアで 踊りたいけど踊れないとブクガオタの鬱憤を晴らすかのように、cloudy ironyが流れモッシュピットと化したフロアは、karmaで最高潮を迎えた。ブクガについて行けば、さらにいい景色を見られるであろう、期待が膨らむワンマンライブでした。

opening SE
1.cloudy irony
2.snow irony
3.bath room
4.sin morning
5.film noir
6.remove
7.last scene
8.最後のような彼女の曲
9.karma
10.faithlessness
SE
11.14days
12.empty
13.lost AGE
14.bed
15.blue light

En1.cloudy irony
En2.my cut

やはりmy cutは盛り上がります。 

2位 ekoms presents Winter Wonderland

クマリデパート、ヤなことそっとミュート、Hauptharmonie、二丁ハロ、せのしすたぁおやすみホログラム、Maison book girlのメンツで面白くないわけがない。それぞれのライブで感化されるように、フロアが熱狂の渦に包まれていきました。来年もまたこのメンツで見たいです。

 

 1位 4/16 Maison book girl×Hauptharmonie in OSAKA

先攻Hauptharmonie、後攻Maison book girlで、LOFT WESTで行われた対バンイベント。ハルモニーは何かが吹っ切れたように熱いライブをした。正直なところ、なぜこんなにも混沌としたのか不思議でならないのですが、あの日、あの時、一番楽しいライブをしたのは確実にこのライブハウスでした。この日のセトリは以下の通りです。

1.(the garden was alive with) all sorts of flowers
2.パラレルワープ
MC
3.yearning
4.almsgiving
5.ボウ
6.瞬きのsummer end
7.Tempting 10 Attempts of Temperance
8.Caterwaul
9.Kidnapper Blues~人攫いの憂鬱~
10.ソプラノ・オーバードライブ
MC
11.Anne Hathaway’s Morning

 今でもこのセトリなら泣いちゃうし、沸いちゃうやつですよね...。で、後攻のブクガはそんなハルモニーが盛り上げた熱をそのままに、熱狂の渦の中に落として行きます。

1.snow irony
2. blue light
3.last scene
4.Remove
MC
5.最後のような彼女の曲
6. film noir
7.bath room
8.my cut
9.bed
MC
10.lost AGE 
一曲目のsnow ironyで、確実にフロアのテンションをあげ、当時の持ち曲を全てやりきりました。my cutではモッシュが起こり、ライブでの激しさを物語っています。改めて、好敵手であり、お互いに高めていきたいグループ同士の衝突は甲乙つけがたく、Maison book girl、Hauptharmonieの双方を好きになってよかったと思います。素晴らしいライブでした。

 

2017年はどんな素晴らしいライブに出会えるのでしょうか、楽しみでなりません。

過疎現場から得たものを

TOKYO IDOLISM、2日目に参加しました。

セトリおばさんが今日も仕事してくれてます。

 

 

語るのは野暮なんだけど、1曲目のassuage、幅広い楽曲を誇るハルモニーだからこそ、こういう芸もできる。ワンマンの告知で滑り倒したけど、実際は楽曲派で、歌唱力も高い。というか、1、2、3曲目、ともに難しい曲なので、これをさらっとやるハルモニー、地味に凄いんですよ。知っている人しか、伝わらないことなのだけれど。

 

で、最後が「国王」でした。

 

 

正直、過疎現場すぎてやばかったのですが、だからこそ魅せ方を考えて、セトリを組むハルモニーほんっと凄いなと思った次第でございます。

 

(あと、クマリがありえん可愛くて、なんとなくサイリウム持って行こうと思って持って行ったらさおてゃんに使えて良かったです、以上)

ワンマンライブ Bring It On Down @WWW X

会場にはギリギリ10分前、フロアは満員とまでは行かないけれども、前方から後方まで、ある程度の人がいた。おそらく、どっかの現場を干してきたんであろう、例えば盟友せのしすたぁの帽子をかぶったオタクもいたし、主現場ではない人も、このライブを楽しみにしてたんだと思う。

 

照明が暗くなり、「Bring It On Down」がスクリーンに映し出される。 「Bring It On Down」は見ての通り、渋谷駅から渋谷WWW Xへと行くまでの映像が入っている。 そして「Bring It On Down」の再生が終わった後に、控え室からステージへと向かう映像をスクリーンに映し出され、メンバーがようやく登場する。

 

セトリはあんまり覚えていない。 と言うか正直知らない曲も多かったので、セトリが書けない。 と言うか、僕はライムベリーは好きだし、動向もチェックしたりしてるけど、頻繁に通うほどのファンじゃない。のだけれど、知らない曲を多くても楽しめるライブだった。そういうライブが出来るグループは本当に貴重だと思う。そんなお客さんでも楽しませられるアイドルグループは貴重だと思う。

 

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「HAPPYLUCKY」やTARGERTでは音に合わせ飛び跳ねたり、すごく楽しい。「because of you」や「Fly High」のようなしっとりとしつつも聞き入れる曲たち。 そして「MIRRORBALL」ではフロアがごちゃごちゃになり、モッシュが起こる。続けて「韻果録」ではフロアは最高潮に。

 

メンバーのことについても少し書こうか。

 

DJ OMOCHI、フロアを盛り上げ役として彼女が入ってくれて良かった。いい意味でも、悪い意味でもぐちゃぐちゃにかき乱す。 もっとDJが出来るようになったら、あっと言わせられると思う。だから、すっごく今後に期待してる。

 

MC MISAKI、1ヶ月ほどお休みして、その間に、OMOCHIちゃん、MIRIちゃんの二人の動画を見たりもしたのだけれど、 やっぱり彼女の声が必要なんだと今回のワンマンで感じた。お世辞にもラップスキルは高くはないけれど、彼女のふわふわとした フロウが、ライムベリーをアイドルグループに繋ぎ止めるためにある。「because of you」はかなり好き。

 

MC MIRI、圧倒的なラップスキルは、ラップアイドル界でも屈指の実力で、のみならずパフォーマンスも秀逸だと思う。 客への煽りも、立ち振る舞いも、アドリブも、それが自然にできているから秀逸なんだと思う。 パンチがあってキレもある声で、早いラップを繰り広げる。彼女がいるからこそ、ラップアイドルグループとして、他のグループとは一つ飛び抜けていることを実感出来る。

 

ライブに行ったことがなくても、極上なサウンドとフロウを聞きながら、体を動かすことが出来る。ただただカッコイイ、それだけでいいじゃないか。たぶん、今そう感じさせられるアイドルグループのうちの一つが、ライムベリーなんだと思う。

Hauptharmonie『Herz über Kopf』を聴いて

言わずと知れた通り、Hauoptharmonieは高い楽曲性、音楽性はアイドルファンのみならず早耳な音楽ファンにも一定の評価を受けている。1stフルアルバム『Hauptharmonie』はUKロック、スカ、ジャズを主軸にしつつ、渋谷系サウンドも取り入れた楽曲もある、射程の広い一枚となっている。リードトラックとなっているギターポップな「映ゆ」から始まり、「(the garden was alive with) all sorts of flowers」と"耳障りの良い曲"が続いた後に「Tempting 10 Attempts of Temperance」のようなスカした曲、「ナイトプロポーズ」のようなしっとりとした聞かせる曲といった編成からはじまっていく。先に4曲を挙げたが、全16曲(truck1はintroなので実質15曲)あり、捨て曲が一切なく『名盤』と言われる所以は、ひとえにプロデューサーのO-antによる音楽への深い造詣とその手腕があってこそなのだと思われる。

さて、『名盤』と評価される1stフルアルバムを出して後に放つ2ndフルアルバムは、それだけに世間の期待度も大きいものである。開口一番放つは「BUDDY」。作詞がHauptharmonieとなっていることにも注目に値する。

Hello! Projectになりたい T-paletteの仲間入りがしたい BABY METALももいろクローバーZPerfumeのように凛としたい <<

のように固有名詞を挙げて、自身の置かれた状況に対する皮肉めいた歌詞。 そうしたくても出来ない、資本力知名度、地下アイドルと言う現実。中でも初期メンバーの寺田珠乃の、

良い子にしててもいいことなかった ううん、良い子にするほど馬鹿を見たんだ <<

と言うセリフは、当初のコンセプトである「仲睦まじく行儀良く」から真っ向に対峙するものである。 恨み節乗せて歌うブルースにあわせ、メンバーたちが淀み濁った気持ちをセリフで吐く。 無垢を目指すも届かずに、汚れていく心を知る。

・・・

「Kidnapper Blues〜人攫いの憂鬱〜」、「パラレルワープ」、「LAST CHANCE(幸福の妨げ)」は語らなくとも良いだろう。 「Alice in Abyss」、これはプロデューサーが語るように酷い歌詞ではあるが、とりわけ寺田の歌唱がすごい。高い音階でこぶしで効かせてストンと落とす、アイドルの歌とは到底思えないくらいに。 「yearing」は『bleich(青白盤)』のリード曲。 これまでを前半戦として良いだろう。

・・・

「トゥー・スィート・トゥー・リブ」はアイドルではなく、ボーカルグループとしての高さを感じずにいられない。 サビではメロディに対して、コーラスは1オクターブ高い音をあわせてユニゾンさせ、曲の奥行きを増している。 とりわけ、新メンバー倉木の存在感が「トゥー・スィート・トゥー・リブ」では発揮されている。

メンバーの中で比較的声が低い倉木が、寺田ととともフェルセットをしながらサビに入る。 高揚感を保ったままコーラスワークに酔いしれつつも、最後の部分では倉木がほぼメロディを、心で叫ぶようにして歌っている。 2番目のサビ入りから最後までを、低い声だからこその特徴を生かした名曲である。

「きらり」はとても好きな曲。 「シャンパンゴールド・トワイライト・ラグゼ」はjazzテイストにアレンジした楽曲で、『GOLDENBAUM ep.』を再録されたものであり、若干のアレンジが加わっている。 「Old Gaffer’s Confession」はむしろパフォーマンスを見て楽しむ曲。 「almsgiving」もかなり変態的なコーラスワークは健在。

そして、「assuage his disappointment」。メロウでスロウテンポで、洋楽ロックのような楽曲でさえ、自分たちの曲として歌う。メインボーカルとなるのは、寺田だった。小川花という不動のセンターを失って、代わりにできるのは彼女しかいなかったからだ。彼女もいなかったら、この曲も今は歌われていないのかもしれないし、高い声のロングトーンを出して歌える歌唱力は、ボーカリストとしての片鱗を感じる一曲である。と同時に、こういう曲を歌うことができるグループであるということを、再認識させられる

「レディ・ファーイースト(極東淑女)」、こちらも再録。体が自然と動く、スカは本当に偉大なのだけれど、「assuage his disappointment」の後に持ってきたのは、ある意味勇気のある決断とともに、「音楽に遊ぶ」ということを体現している。 「ソプラノ・オーバードライブ」はライブ定番曲。 「春夏秋冬」はライブでもあまりやらないが、これまたいい曲。 そして「国王」。ボーカルがないこの曲は、恵比寿リキッドルームで披露された。

・・・

1stフルアルバム『Hauptharmonie』は楽曲の良さに注目されがちであるが、2ndフルアルバム『Herz über Kopf』は、楽曲の良さだけにとどまらず、アイドルとして重要な要素となる歌の部分にも注目すべき、そして言い換えれば彼女たちの成長の軌跡を感じられる一枚となっている。正直なところ、アイドルは"こんな歌"を歌わないし、歌えない。寺田と同じく初期メンバーの相沢光梨が、

音楽に勝ちたいよね、アイドルとして*1 <<

bounceのインタビュー内で述べたが、一方でリスナーからしたらその言葉に誤りがあるとすら錯覚する。 ダンスと歌唱力はアイドルにとって重要な要素であるが、歌唱力は2年間の積み上げによって、その実績を『Herz über Kopf』で証明されている。

いい楽曲が用意されているアイドルはたくさんいる。 しかし、いい楽曲を超える歌唱力を持ったアイドルはいるだろうか。

歌唱力という武器を手に入れた彼女たちが、白いロックへと回帰するのか、それとも別の色に染まっていくのか。 5th ep.の発売も予定しているとのことで、今後にも期待を持てる一枚となっている。

*1:タワーレコードbounce』(393号)、51頁。

Hauptharmonieの好きな10曲

僕は楽曲派だといつも言っていますが、むしろそう言わざるを得ないくらいに曲が素晴らしすぎるっていうのを伝えたいと思ったので超主観的なやつ書きます。闇のハウプトハルモニーも好きだけど、白の方が好きなのでそっち寄り。では。

1.Anne Hathaway's Morning /『bleich(青白盤)』 昔からポップンミュージックの人だったので、常盤ゆうさんいるrisetteしかり、現代の渋谷系サウンド継承者の北川勝利さんだったりが好きな人は絶対いいと感じる曲。シンプルな音作りにおしゃれなギターポップ、英語歌詞がより曲としてのクオリティを高めて良いです。

2.Reden ist Silber, Tanzen ist Gold /『OLDENBAUM ep.』 音楽に遊ぶ、の名ふさわしい、ほんと好き勝手にやってるなーいいぞって思える曲。明るいスカっていいよね♪って思ってたら、「これも一面なだけ」っていうのを後々、アルバム買って聞いて知ったっていう。 6人組になってからやってるのを聞かないから、やってほしいなあと思いつつ。

3.映ゆ / 『Hauptharmonieアルバム収録曲のド頭でこんなカッコイイギター音鳴らされたらたまらんです。 何この渋谷系アイドルグループやばいこれってなった。

4.(the garden was alive with) all sorts of flowers / 『Hauptharmonieで、「映ゆ」の次にこの曲。疾走感がたまらない。 4ヶ月前のぼき「え、これアイドルですよね?」 いやほんと、今でもこの(これら)曲を歌ってるのがアイドルって思えない。

5.瞬きのsummer end / 『Hauptharmonie聞けば聞くほど、エモい曲。 シトシトとした音楽に、歌詞に感情を込めて歌っているのがすごく伝わってくる。 聞けば聞くほど、好きになる曲。

6.Love likes a mille-feuille / 『Hauptharmonieピアノかっこいい、ベースかっこいい、ドラムかっこいい、SEかっこいい。 珠乃ちゃん、花ちゃんの声が特に映えるなーって思ってます。

7.Kidnapper Blues 〜人攫いの憂鬱〜 / 『Abenddaemmerrung(赤黒盤)』 いやいや、僕はおしゃれなギターポップが好きなんだ、こんなスカでパンクでファンクで転調激しくて予定調和なんてなくて狂いそうな曲なんか、超好きになってしまいましたヤバイよこれ頭おかしい。かなり攻めまくってて、個人的にかなりヒットしてる。

8.きらり ※未収録曲 アイハラ推しではなくて、というかハルモニは箱推しなので個人に対する想いは一緒のつもりなんだけど、「今は会えないけど大好きな人」っていう歌詞、初めて聞いたのもアイハラがいた時でアイハラエミの曲だったんじゃないかって思ってる。とはいえ、今のハルモニーに歌ってほしい。きゅんとくるけど、名曲。

9. ソプラノ・オーバードライブ /『bleich(青白盤)』『Abenddaemmerrung(赤黒盤)』 ハウプトハルモニー唯一のアイドルソング(?)だと思っています。 明るくて、楽しい、心が踊るし、合いの手を入れやすいし、コールも入れやすい。と言っても、やっぱりハルモニーらしさもあって、つまり好きってこと。

10.パラレルワープ ※未収録曲 疾走感あるドラム、ピアノ。 サビの格好良さはともかくヤバイに尽きる。ロッキンでやってほしい、地下アイドルから、もっとメジャーなところでパフォーマンスしてほしいって思ってます。願わくば生音で!!

以上。絶対みんなライブ行こうな!!

Hauptharmonie,『たそがれたかこ』,そして僕

2015年12月20日,僕は出会った。 「仲睦まじく行儀良く,音楽に遊ぶ4人組」という名にふさわしく, 洗練された音楽に身体をあずけて,声を響かせる。

彼女たちの音楽的方向性はSKAであり,ギターポップであり,ポストパンクであり, シューゲイズであり,エモーショナルロックであり,「何でもあり」ではない, いわゆる「そっち向け」に作られたものである。 間口の狭い,聞く人も少ない,そんな音楽を,売れなければ続けられない「アイドル」という世界で, 「そっち向け」の素晴らしさを最大限に引き出し,自由に楽しく歌い踊る。

彼女たちの存在を知り,気になった僕は,下北沢のライブハウスに向かう。 猥雑で,だけど活気があって,カレー屋さんが意外と多い音楽の街,下北沢。 そんな場所で,彼女たちは今日も自由に楽しく歌い踊る。

僕は好きになった。 ずっと,応援したいと思った。

この気持ちは,恋なんかじゃない。 けれど,例えるならば麻薬のように,快楽に溺れ続けるように,ずっと浸っていたい。 そしてたくさんの人に聞いてもらいたい。 そういう気持ちなんだと思う。

下北沢を後にし,京王井の頭線で渋谷に向かう。 目的地はもちろん,タワーレコーズだ。 "No Music, No Life?"というフレーズは,多分今の僕にぴったりの言葉だ。 僕はお店に入った。

ふと目にした『たそがれたかこ』というマンガ。 家に帰ってKindleで読んでみた。

話のあらすじはこうだ。 45歳バツイチの中年女性・たかこ。 白髪の混じる黒髪,活力を失った顔,繰り返しの毎日を過ごす日々。 彼女は「ナスティインコ」のボーカル・谷在家光一の歌声に恋をした。

髪の色を明るくし,今まで着たことのない服を着て。 色褪せていたいた世界が変わっていく。 自分が変わっていくことで,世界は色づいていく。

誰かをきっかけに,人は変われる。 何かをきっかけに,人は変わっていける。 それは,年齢には関係なく。

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可笑しい話だ。 たかこは僕のようだ。 それは運命が巡り合わせたよう。 彼女たちのライブを見た日に,そんなマンガを読んだのだから。

クソみたいなこんな世界でも,素晴らしい音楽と,それを創ろうとする人たちがいる。 クソみたいなこんな世界でも,素晴らしい音楽と,それを表現しようとする人たちがいる。 クソみたいなこんな世界でも,素晴らしい音楽で,それを誰かに伝えたい人たちがいる。

そして,クソみたいなこんな世界でも,音楽を愛する人たちがいる。

Ich liebe Musik.