思考実験室

日々のつれづれ

『げんしけん2代目』の話:社会人とコミックマーケット

 最近,仕事で忙しくて,マンガもアニメも,そういった趣味の時間に費やす間もなくコミケを迎えて,午前中仕事をやったあとに国際展示場に向かったわけなんだけど,なんだか本当に行くべきなのかそれさえ怪しく,いわゆる気持ちが乗ってない状態なわけですが,僕はオタクとして呼べるのかどうかという真摯な問いかけにたいしてたぶんノーといわざるを得ないくらいにはマンガやアニメから離れてると思うのであります.

 で,僕は大学のときからアニメ研究会やら声優研究会やらいわゆるオタサーに加入せずに学問とマンガ・アニメを黙々と知り合いに熱く語ってはいたけど,サークル室でだらだらと酒を飲みポテチをつまみゲロ吐いては金元寿子さんと結婚したい結婚したい茅野愛衣さんに好きって告白されたいと気持ち悪い妄想を語り合うというか一方的に話すようなことはなくて,然るに僕=オタクの居場所が大学には正直なかったまま大学を出て社会人になって,さあコミケだ!と思って書(カタログ)を持って戦場へ出よ,となったときに以前には備えていたバイタリティも今では摩耗し,カタログもカタロム買わず怠惰をふりまいてまあいつも同人を買ってるサークルの人はツイッターで「●●●@東30-b」とか名前に書いてあるもんだし別にいいっかと思って前日当日にPCで軽くチェキしてはメモをあいぽんに入れて始発じゃなくて10時超えたころに戦場に向かうという体たらくですよ.

 僕は今までマンガもアニメも大好きで声優は金元寿子さん大好きだし他には瀬戸さんに茅野さん藩さんといった「ちはや」キャストも好きだしあとは毎年夏にはサクラ大戦の紐育星組のライブがあるからそれには参戦してもいるんで,それなりにオタクなライフを送っているといえばそうかもしれないのだけれど,圧倒的に学生時代に比べてそういったオタの情報を得るために時間を割くことが難しくなって,今回某氏よりコミケで企業出展している両備グループ七葉院まゆせのイベントで金元寿子さんが来ることを教えてもらったという事実からも,自分はオタク失格の烙印を押されても仕方ないのではと思う次第.本来ならばこういう情報は自分から主体的にとりに行くべきものであって,誰かからおしえてもらって行くものではないし,そういった意味でオタクとしてイベンターとして金元寿子さんファンとして意識の低さを露呈してしまって,あまつさえフォトカノやらガルフレやらAURA×人退やら様々なイベントがあったにも関わらずそれに行けないことにたいして,「もうがんばったよね?」といって腹を切らなきゃいけないんじゃないのかな...とニーチェも驚きの終末思想で本気でオタク辞めようかななんて考えたりするわけであります.

 で,『げんしけん2代目』の話.何話か忘れたけれどコミケの話がありました.冒頭くらいのワンシーンですが,社会人になってちゃんと時間もとれないまま,気がついたらコミケ(作中では「コミフェス」)当日になってた,というようなワンシーン,僕はそれにすごく共感したんですよね.もっというと,学生から社会人になったオタクって,たぶんそんな感じなんだと思います.

 そのワンシーンで登場するのは班目という総受けのカップリングをされる不幸な人間なのですが,軽く彼の紹介をすれば,彼は文章を書くわけでもなく,ましてやマンガや絵を描くわけでもなく,単なる消費者であり,「キモータ」でしかない人間なのであります.

 ここに,生産者と消費者のマインドの違いといいますか,コミケに対するバイタリティの違いを見出すこともできるんじゃないのかと思ったりします.というのも,コミケって自分が本を出す立場でないのならば,必ずしも行く必要なんてないし,ましてや夏コミなんて「キモータ」が密集して暑くて湿ってて臭い空間,不快指数は120もあるような環境に身を置くなんて一種の苦行にしか思えない行為を,わざわざしにいくわけですよ.

「こんなのぜったいおかしいよ!」

という魔法少女も真っ青です.心も濁るというものです.

 一方で生産者,と言いましたがまあサークルに出展して同人誌その他諸々を販売する方々を指して呼称いたしますが,赤字になるかもしれないし自己満足的かもしれないけれど,自分で計画立てて製作するその姿は非常に能動的なものであります.コスプレイヤーもここに含むでしょう.

 要するに班目のように自ら書くことも描くこともなく,また仕事の時間に追われてコミケのサークルチェックという遠足の準備もしっかりとできないまま,コミケ当日を迎えるということは,非常にMOTTAINAIということであります.

 でも,班目だけでもなく僕もそれだったのだ.

 コミケは楽しいもの.だって,様々な本との出会いの場であり,様々な人との出会いの場でもあるから.だから,それに備えて準備はしておかなければコミケに行っても十分に楽しもうと思ってもなかなか難しいものです.

 コミケを楽しむためには,何よりもちゃんとした日々のオタライフを充実させて,十分な時間を確保すること.そのことで,オタイベントのボスでもあるコミケも楽々こなせるようになる,というロープレ脳でコミケを楽んでいきましょう.そのために,ちゃんとした自分の時間が確保できるような仕事やらに転職することが,オタライフを長く続けるコツなのかもしれない,ということでサーバントサービスの方々はオタが多いというのはわりと説得力ある主張だよね,というオチをつけてちゃんちゃん.